KAID アクティブヒップバック

 

渓流 パタゴニア シムス

毎年、正月を過ぎるとしばらくの間、仕事が多忙になってあまり釣りに行けなくなる。
気分は湖半分、そして来るべき3月のヤマメ解禁半分なのだけど、釣りに行けない分、自然とヤマメの準備をし始める。

もうあまり揃えるものもなくなってきた気がするが、あれもこれもとイメージしているとやっぱり欲しいモノが出てくる。

そしてやっぱり出来るなら、この国で、今この時代を生きている人たちが丹精込めて作ったギアだけを全身にまとって釣りをしたいと思っている。これは間違いなく正直な気持ちなのだ。

ところがこれがなかなか難しい。

アングロアンドカンパニー ウッドベイト

とかく「コダワリの~」という枕詞が付きやすいトラウトフィッシング。1人のアングラーがモノを買うまでには他と比べてかなり多くのプロセスがあるような気がするし、タチが悪いことに、その「ああでもない。こうでもない。」というプロセス自体をアングラーが楽しんでいるフシがある。

それは魚がランディングされるまでに全くよく似ていて、「興味を持つ」→「遠くから眺める」→「戸惑いながらも近くに寄っていく」→「興奮してくる」→「バイト(購入)」→「ファイト(支払い)」→「ランディング(納品)」なのだ。

逆に言うと、ランディングにまでいたらないというのはこのプロセスのどこかに不足している部分があるということなのだろう。

「実際試してみないと分からないじゃないか。」

どこかの作り手さんからそんな言葉が聞こえてきそうな気がするが、そうは言ってもこちらの財源には果てしなく限りがある。大抵が安くないトラウトギア。悩んで、迷って、また悩んで、しばらく熟成させて、決心してやっと、ポチっと、なのだ。

シムス SIMMS ウェーダー

その中でも特に国内勢が弱いのがウェア類じゃないだろうか。

自分自身を振り返ってみても、春と冬はウェーダーがSIMMS、シューズがKORKERS、ベストはFILSON、キャップはSIMMSといくつかで、舶来品のオンパレードだ。

春から秋の渓流シーズンはシューズがモンベル(http://webshop.montbell.jp/goods/list.php?category=709500)、ゲーターがカスケット(http://www.club-casket.com/original/goods/leg_gater/)、ベストとキャップがSIMMSとこっちは少し国内勢が優勢だ。

しかし、もう一つ最近ずっと気に入らないのがフライフィッシング用のギアをルアーアングラーの自分が使っていることだ。特にベスト。SIMMSにせよFILSONにせよ露骨にフライフィッシング用なのだ。何でルアーフィッシングを愛する自分がフライフィッシング用を使わなければいけないのか。

などと、あの時あんなにドキドキワクワクしながら買っておいて言うのもなんだけど、しょうがない。人の心は移ろいやすいものだ。そもそも、多くのトラウトルアーフィッシングにとってフライフィッシング用のベストはイマイチなのではないか。ファッション的にはいかにもな感じがするのだけど、機能的には、帯に短しタスキに長しと感じている人は多いと思う。

KAID

そんな悩みを誰にも相談せずに、秘やかに、悶々と抱えていたある日、1つのギアが目に止まった。それほど強烈な主張をしているプロダクトではなかったが、自分の全てのプロセスを一気に超えてしまった。リアクションバイトだった。

福士知之さんで有名なD3カスタムルアーズが展開する”KAID”というブランドのヒップバック。名前の由来は多分間違いなく北海道の「海道」なのだろう。

渓流 タックル ベスト 中身

購入の決め手になったのは2点。ランディングネットホルダーとペットボトルホルダーだった。

ベストを着ていると、大体ネットは背中のDカンにマグネットを付けてプラプラさせるだろう。ところが、藪こぎなんかしていると木や枝に引っかかって、「ビヨ~ン」とストリンガーが伸びて憂鬱な気分になったりすることが多い。また、何よりペットボトル等の飲み物をメインのポケットに左右1本ずつ、合計2本入れて携行することが多く、これが長時間歩くと肩凝りの原因にもなる。

シーズン中、長いときは10時間以上も渓流を歩くことがあり、このネットのプラプラとペットボトルの重さはかなりのストレスだった。

KAID ヒップバッグ

この2点がKAIDのヒップバックではキレイに解決されているように見えた。

大体、半日遡行して一旦車に帰って、また午後に次の場所へ行くようなライトな、普通の渓流釣りの場合、ルアーは実のところ5~6個、小さいケースさえあれば大抵充分だ。そうすると、フライフィッシング用のポケットが沢山あるベストは確かにトゥーマッチなのだ。

KAID ヒップバック

試しに渓流用のベストに入れていたものを移し替えてみると、見事に全部収納できる。入れられないものはミラーレス1眼くらいのものだろう。これも、最近は渓流には防水のコンデジしか持っていかないので問題ない。

ちなみに、左右についているボトルホルダーは片方が飲み物、もう片方は熊スプレー用を想定しているらしい。何とも北海道発のプロダクトらしい。九州に熊はいないが、5月を過ぎるとシャレにならない暑さが来る。水分補給のために2本持って行けるのはとても安心できる。

KAID ヒップバック

KAID ヒップバック ワレット

素材はごく一般的なネオプレーン。定価も9,800円と高い方ではないが、見事に、隅々までエキスパートアングラーの気配りがなされている。例えばボトルホルダーの内側左右に配置されているコンパートメント。

小さなルアーケースならゆうに3つは入るだろう。もしやと思いお気に入りのAnglo&Companyのワレットを試してみたら、ネオプレーンの伸縮性のおかげか、ちゃんと、ちょうどスッポリと収まる。偶然ではない。きっと意図して作られているのだろう。

KAID ヒップバック

KAID ヒップバック

ヒップバックは他にも、SIMMSのDry Creek Z Hip Backというものを前から持っている。こちらは完全防水というのが売りで、デジタル一眼も安心して持ち運べるから一概には比べられないけれど、欲しいものがサッと取り出せるという点においては圧倒的にKAIDのヒップバックに軍配が上がる。ちなみにSIMMSのはKAIDの3倍強のお値段。

KAID ヒップバック

小さなコンパートメントの底面には水抜き穴も付いている。細かなことだけど、これも嬉しい。これがないベストを着ていて水没したときは各ポケットがチャポンチャポンになって、いちいち裏返して水を出さなければならなかった。(ただ、どうせならメインのコンパートメントにも付けた方がいいのでは、とも思うが。)

KAID ヒップバック

KAID ヒップバック

渓流に出る前からすっかり惚れてしまったアイテムなので、最後にもう一つリクエストを。

SIMMSのDry Creek Z Hip Backのベルト部分の先端にはベルクロが縫い付けてあり、余分な部分を束ねる事ができる。これはとても便利な機能なので、もし出来るなら第2弾で採用して欲しい。こんな細かなことがシビアな現場ではとても大事だと思う。

KAID ヒップバック

また、渓流用とばかり決めつけていたが、試しに湖用のどでかいウォーターランドのナナマルスッポリネットを入れてみたら、これもまたきれいに伸縮して難なくフィットしてくれた。

マグネットで背中からぶら下げるのもおっくうで、いつも地面において使っていたが、ウェーディングしてるときは置き場がなく、岸に置き去りにしていて、イマイチだった。これは湖でも手放せないギアになりそうだ。

・・・・・・・・・・・・

頭のてっぺんからつま先まで、こだわりを詰め込んで全身キメ込んだスタイルは気合いが入ってていいとも思うが、一歩間違うとトラウト武装兵みたいになりかねない。着てる本人は気付かないだろうけど、はたから見ると、トロ、ウニ、イクラと高級ネタを延々と食べさせられて胸やけしそうな気分になることもある。

その点、このKAID アクティブヒップバックはすっと肩の力が抜けたアイテムでとても好感が持てる。まるで、寿司の間にすっと口に運ぶガリや赤だしの味噌汁、熱くて濃い緑茶のように。

KAID ヒップバック

何より、トラウトギアとしての完成度は見た目では分からないほど優れていると思う。ここまで書いておいて何なのだが、サイトにはそのものズバリの説明が書かれている。

まだこの1アイテムしかないようだが、個人的にはこんな良心的なモノづくりをするメーカーさんには今後もずっと頑張っていって欲しいと思う。

KAID http://kaidjapan.com/

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