対峙

 

御池

 

今年の後半はとにかく調子が悪かった。

 

これまでにないくらい御池に足繁く通ったが、日が経つにつれ、どんどん生命感が失せていくのが分かった。最近は、湖畔にあれだけ群れていたヨシノボリの姿さえも全く見えない。

 

朝焼け

 

それでも、幸いなことに、御池に禁漁期間は今のところない。

希望を抱いて車を走らせれば、道すがらいつも吸い込まれるような朝焼けを拝むこともできる。

 

お気に入りのギアを着て、タックルを持てば、やっぱりその瞬間からスペシャルで、あっという間に終わってしまう一日を過ごすことができる。

 

冬空

 

自分は、冬が好きだ。南国人のぜいたくなのかもしれないが、宮崎の冬は他の季節と違って、空気が澄んでいて、大抵穏やかな日が多い。鼻から空気を吸い込むとタバコのヤニで重くなった肺にゆっくりと森羅万象が染みこんでくる。

 

ちょっと涙腺がゆるむような感覚が訪れる。

 

トラウトマン 影

 

確かに、レインボーの顔は見たい。

 

でもね、自分が時間をかけて選んだ「正装」でフィールドに対峙すること。だいぶ進んでしまった老眼で目を細めつつ、ルアーボックスをカチャカチャいわせて、ああでもこうでもないと手を変え品を変え自然に遊んでもらうこと。

 

集中が途切れて、ふと顔を上げたときに目に入る空と森の境界線。

 

こんなに満たされる静寂と孤独はそうそうない。

 

パラゴン セルテート フィルソン

 

今までだったら、秋からはエギングをやって、毎週イカや、たまに釣れる根魚を愉しんでいたものだったが、結局今年は1回しか行ってない。数杯釣って、おしまい。十分だった。

 

「シーバスやりましょうよ。」と誘われたりもするのだが、自分自身でもやっかいなことに、心は静かで鏡のような湖面なのだ。

もちろん今までにシーバスをやったこともある。まぐれで80オーバーが釣れたことも。

 

だけど、魚へんに尊いと書くもの以外は、今のところ、何故だか、ない。

 

里川 落ち込み

 

それでもあんまり釣れないものだから、最近は近場の川にも出掛けたりした。(ニジマスの漁期は1月末まで)冬晴れの日が続く川の水量は少なく、楽に歩を進めることができた。遠くの山々にうっすらと積もる雪は、この時期しか見ることのできない自然の芸術。

 

里川 トラウト

 

トラウト ファイト

 

初めて訪れたフィールドだったが、もう少し水量があれば、更に楽しそうな所だった。

かなりのオチビちゃんだったが、ニジマスも1匹だけ遊んでくれた。

 

来年はストリーム用のタックルも新調してもう少しトラウトに出会いたいなあ。

 

釣り 撮影

 

今年に一つ悔いがあるとしたら、自分にもう少し経験があれば彼にもっと楽しい思いをさせられたろうに、ということ。よくもまあ、こんな偏屈な男に付き合ってくれたと思う。

 

御池 トラウトマン

 

御池に戻ると、お客がほとんどいない中、寒さに震えながらボート屋の主人が話してくれた。

 

「昔、そこ(湖畔)のレストランが営業してる頃は90㎝を超えたニジマスの魚拓があったんだよ。。」

 

御池 夕焼け

 

天孫降臨の地とされる高千穂峰の真下にある湖、御池。

いつかは、ここに住まうであろう神の化身と対峙したい。

 

それが自分の人生の一区切りであるような気がしてならないのだ。

 

 

松本 宏人

松本 宏人

投稿者プロフィール

生まれ:1970年
メインターゲット:トラウト
メインフィールド:湖
-メッセージ-
幼少の頃から様々なルアーフィッシングに親しむ。
物をなくすのは、単にだらしないだけではないかとの噂も。
宮崎市在住。

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