愛煙讃歌

 

シガレットケース アングロアンドカンパニー
唐突だけど、自分は愛煙家だ。学生時代から吸い始めて、ン十年。煙草を吸わなかった日は全くなかったと言っていい。

どうせ毎日のことなら、色々こだわってみたい。
そう思ったのはつい最近のことだった。

去年までは、500円くらいで買ったアルミの煙草ケースにAnglo&Companyのステッカーを貼って使っていたのだが、今年の夏、渓流に行ったときにどこかに落としてしまった。とても気にいってたのでまた同じのを買っても良かったのだけれど、何となくそのままになっていて、普通にコンビニで買ったまま吸うようになっていた。

シガレットケース スプーン

つい最近、久しぶりに新しい煙草ケースを買ってみた。1,500円だった。

形はよく雑貨屋やネットなんかでも見かけるやつで、別段変わったところはないのだが、表面の模様が気に入った。植物を模したデザインは手触りがいいし、これから付くであろう細かい傷も目立たない。

シガレットケース アングラー

仕事用のカバンや釣りのベストに入れてもかさばらないし、何より煙草を吸うときに、ある種儀式めいた、リッチな気分になれるのがいい。銀色のケースを一なでし、手のひらに包み込んで、親指でロックを外すと、「カパッ」とケースが開いて、整然と並んだタバコとともに鼻腔をくすぐる草の香りが立ち上る。

そして、1本つまみ、軽くくわえ、ジッポーで「ジッ!」とタバコに火を灯す。

トラウト ジッポ zippo

紙のパッケージをカサカサやるよりもずっと贅沢な気分になれる。誰に見せるわけでもない。自分の中のこだわりなのだ。

タバコの吸い方にも、こだわりがある。

むやみに灰を落とさないのだ。忙しいとどうしても吸い方もそうなってしまいがちだが、なるべく灰がタバコに残ったまま吸うようにしている。燃えている先をじいっと見つめて、大切に吸う。これだけでも大分リラックスと満足の度合いが違ってくるものだ。

大体、最近の喫煙者を病人みたいに見る傾向にはうんざりしている。たまに仕事で羽田空港なんかに行くと、まるで隔離病棟みたいな喫煙室があって、皆が肩をすぼめて申し訳なさそうにせかせかと煙草を吸ってて、腹が立ってくる。

もちろん、自分だって法治国家の恩恵を享受している身だから、もし法律で禁止されたらそれに従う。だがしかし、現状は違うではないか。よく、タバコは健康に悪いとか、やめられないのは意志が弱いからだとかいった幼稚なことを言われるが、そもそも、こういった物言いは吸わない側の論理であって、こっちから言わせれば、

煙草をやめれば健康になれる、のではなくて

煙草が吸える内は健康、なのである。

もちろんやめられないのではなくて、そもそもやめる気がないのだ。大きなお世話なのだ。

湖面 雲

以前、面白い人がいて(その人は煙草を吸わないのだが)やっぱり吸わない人の論理をぶつけてきたので、

「いや、高額納税者ですから、少しは大事にしてください。」と冗談で言うと
「わかりました。そしたら吸ってもいいけど、吐かないでください。」と返してきた。

もちろん、受動喫煙の問題とか、吸い殻ポイ捨てとか、最低限のマナーは守らなければならない。煙草を吸うことが野蛮で、下品なことだとレッテルが貼られないようにするためにも。

晩秋 湖畔

それでも、もうすぐ退任するオバマ大統領は愛煙家だし、日本政界のフィクサーと言われていた飯島勲は煙草が吸えないようなインタビューはさっさ早めに切り上げちゃうらしいし、宮崎駿にいたってはテレビ番組でも、ずーっと煙草を吸っている。そして、それぞれが立派に身をたてている。俺だって頑張るぞ!

湖面 スプーン

こんな感じでイライラしながら釣れない時間、脳内にはストレス物質が溜まっていった。

しかし、ここでの鉄板の鉄片、サトウオリジナルのアンサー、GKYカラー11gをキャストし続けていると、ついにその時が来る。

湖 トラウト アングラー

「コツッ」というかすかなバイトとともに、みるみるパラゴンに激しい重みが乗ってくる。
バットまで曲げられて、ドラグが「ジィッ!ジィッ!」と鳴り、ラインが断続的に出てゆく。よし!

バレないよう、ゆっくりゆっくりリールを巻き、その大きな魚体が10数㍍先の水面に一瞬現れる。ん?

サトウオリジナル アンサー スプーン ブラックバス

果たして、浅瀬に横たえられたのは50オーバーのバスだった。

ブロンズバック、バケットマウス、ポットベリー、この魚を讃える全ての言葉があてはまる立派な一尾。

サトウオリジナル アンサー スプーン ブラックバス

だけど、うーん、なんだかなあ。なのである。

後で、「露骨に肩を落としてがっかりしていましたね。」と、遠くから見ていたボート屋のお兄さんに笑いながら言われた。

湖畔 晩秋 

ま、でもいいファイトだった。湖畔の丸太に腰掛け、ゆっくりと煙草の煙を眺めながら一服した。

釣れないとイライラして吸い、釣れたらとろりとした至福の一服を。

苦い煙草も、美味い煙草も、自分と一緒にあるのだ。

 

 

松本 宏人

松本 宏人

投稿者プロフィール

生まれ:1970年
メインターゲット:トラウト
メインフィールド:湖
-メッセージ-
幼少の頃から様々なルアーフィッシングに親しむ。
物をなくすのは、単にだらしないだけではないかとの噂も。
宮崎市在住。

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