表裏の帯1(魚野川~湖山荘)

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サトウオリジナル

「お忙しいでしょうが、時間が取れそうな時には新潟にも遊びに来てください。」

「是非、お会いして色々とお話聞かせていただけたらと思っています!」

「お待ちしてます」

2014年5月にこのTailSwingをスタートさせた直後、海のものとも山のものとも分からないこのサイトについて、熱意だけで協力願いを書いたメールを各メーカーやこれは、と思ったブログ運営者に送った。

当然、反応はない。当たり前すぎることなのだが、いきなりワケの分からない文章とサイトのアドレスが送られてきて、協力して欲しいなどと、へそで茶を沸かすような所業だろう。企業であれば関わったというだけでリスクになる可能性もある、ブログ運営者であってもメリットなど感じられない。実績など、何一つないのだ、唯一あるのは熱意だけ、ふざけた話である。

そんな当時、メーカーとしては3つだけ。この不躾な輩に反応してくれたところがある。

そのひとつが、サトウオリジナル。佐藤氏だ。

サトウオリジナル アンサー サブマリナー スプーン

冒頭の台詞は、当時まだ宮崎に居た頃にしたメッセージでのやり取り。いつか、必ず行きたい場所として新潟が深く刷り込まれていたと思う。その後もイベントを含め、毎回お願いばかりの我儘にことごとく協力いただいた。様々な想いも、やりとりも、全てを受け止めてもらい、積み上がり続けていく。

宿題のアンサー

それから東京での生活が始まり。慌ただしく2年が過ぎた3年目。そのいつか、を叶えるべく4月から計画を立てた。とは言ってもお互いの予定調整だけで、細かいことは全て任せる。経験論ではあるが、エキスパート中のエキスパートと同行する際には身を投げ出すぐらいで丁度いいと考えている。彼らは調理方法など知り尽くしているのだから、少し身綺麗にして眼前に立ったのなら、見事に仕上げてくれるものだ。

おなじみ関根氏の参加も決まった、2日目の朝からだが、このメンバーで釣りができるなんて、つくづく幸せ者である。

新潟県 高速

24日、初日の土曜日。昼ぐらいを目処に待合せとなる場所へ転がしていく。

初めての新潟だがよく聞く、見る地名が並ぶ。そうか、ここが・・・と思いながら周囲の風景と空気を吸い馳せてみる。あくまで通過点であり、車で見たところで極めて薄い触れ合いにはなるが、体で感じること、体感の中にしか生まれないものがあるのだと信じている。

魚野川 スプーン

予定より少し早かったが、無事合流。軽く挨拶をして、魚野川を案内してもらう。

あまり期待できるコンディションではないようだが、どちらかと言えば会いに来ているという側面が強く、人の少ない場所でストレスなくキャストしたいといったお互いの好みで中流、下流域のポイントへ向かう。

サトウオリジナル

横を見やれば、佐藤氏が投げている。世話になり続けた人がすぐそこにいる事実が、なんとも言えないものを吹き出しては湧かせてくる。

ようやく会えたのだと、並んで投げることで実感となったのだろう。

魚野川

2箇所目、ダウンになったスプーンに重みが伝わる・・・が、その抵抗は軽い。

軽くいなしながら、狙いの魚ではないだろうが、まずはこの魚野川での魚を拝めるなと軽く寄せつつ、水中に翻る銀色の反抗を見る、30センチ弱だろうか、鱒ではなさそうだが、ニゴイなどのような抵抗でもない。魚種はなんだろうと余裕のまま決着すべく最後の寄せに力を込めると、ラインはたらりと垂れた。

・・・。

この時は悔しさも何もなかった。ただ、ハズレてしまったなぁと、眼前にある流れにヒットした喜びが土台となって、爽やかな感覚がすうっと訪れてくることに浸っていた。

魚野川 サトウオリジナル

3箇所目、反応なく、ここで銀山湖に向かうことも提案されたのだが、足掻いてみたくなり、4箇所目へ・・・泣きの5箇所目。

雰囲気は十分あった、スプーンをキャストし、沈め、ドリフトしたり、アップクロスから引いてみたり、ボトムから跳ね上げてみたり。思いつくだけの探りを投入し続けていくが、魚を出すことはおろか、反応を得ることもできなかった。

今になって、言われたり教えられた言葉を振り返ると、経験不足から流し方や着水点が大きくズレていたように思う。どこで粘るのか、投げる必要のない所でもついつい投げ込んでは無駄な時間を使っていた。

「タイムアーップ、行きましょう」

foxfire シャツ 手袋

本番は明日だと、気持ちを切り替えて憧れの地、銀山湖へ向かう。

愉しみはまだまだ続くのだ。

銀山湖 トンネル

トンネルをくぐる、いくつか超えた先にまたトンネルだが、もはや洞窟と言っていい壁と雰囲気。少し気圧されるが、これでこそ読みふけって、想像と妄想の中に燦然と射し込まれた銀山湖へ向かう道なのかと、にやりとしてしまう。

当時はもっと凄い道々だったのだろう、それでも押し寄せた釣り人の想いと行動力とは、世界共通だと思うが、いやはや驚愕というしかない。

河は眠らない 石碑

「行きたいでしょ?」

「もちろんです」

感無量。

想像より数倍大きい記念碑、あの文章を読み、どれだけの釣り人が訪れたことだろうか。

湖山荘

え、こんないいところを・・・と若干引き気味の私を尻目に、スタスタと案内してくれる。もう数十年の馴染みのようだ。

イワナ 剥製

湖山荘 皇太子

湖山荘 魚拓

湖山荘 開高健

目に入るものが、歴史と、魚を雄弁に語ってくれる。画像はほんの一部分、とても紹介しきれない質量にまた圧倒される。

湖山荘 露天風呂

並んだ夢ひとつひとつを眺めて数時間は過ごせそうだが、そんな時間もない。急かされるまま足早に湯船に浸かり、と思ったがこれまたどうして。川の音に耳を落としながら何事かを思案する湯の、そのたゆたう心地よさといったらない。

少し間延びしたが、急ぎ食事へ。

湖山荘 食事 美雪ます

魚沼ブランドの美雪ます(ニジマスとアメマスの交配種)の刺身から、岩魚の塩焼き、山菜の天ぷらなど、そうそうたるラインナップに日本酒。

食と酒は進むが、それ以上に会話も八艘飛びの具合だ。常見忠、開高健、その他にも今のトラウト業界を築いてきた面々など、とてもじゃないが書けそうもないことを含め、釣りバカ談義は終わらない。

湖山荘 日本酒 鶴齢

気がつけば締めの蕎麦を吸い取り、2階の部屋へと移してまた飲み、食べ、話す。大先輩、いや先人と言えるような人物が息子ほどの歳の私にこれだけ心を砕いてくれる。・・・有り難い。

心に残ったフレーズは

「なぜだか昔から不思議と、私の周りにはいい人が集まってくるんですよ」

いかにも、らしい、人間性に溢れた言葉だった。

湖山荘 部屋 囲炉裏

気がつけば2時になろうかというところ、明日は4時に出船。関根氏もなんと名古屋から徹夜で駆けつけるということだが、はたして起きることができるのだろうか・・・睡眠の恐怖に怯えつつ、豪華な部屋に戻る。全く、こんな部屋で指も折れないほどの時間寝るだけなんて、本当に勿体無い。できることなら、タバコを吹かし、酒を浴びながら記事の一本でも書いてみたいものだ。

これを読んでくれていて行ったことのない貴方、後悔の一切ない宿です。もし機会があるのなら、是非、行かれたし。

デジカメからWifiでスマートフォンへ今日の画像を移し、携帯の充電を差したところまでは覚えているが、せっかくの布団に入ることもなく、畳へと船は沈み、出船の時を迎える。

魚野川魚野川 鮎 レリーフ 鮎 レリーフ

表裏の帯2(銀山湖)に続く。

 

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藤井政幸

藤井政幸TailSwing運営代表

投稿者プロフィール

渓流~海までどこでもスプーンを投げる。
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ご連絡、メッセージお待ちしてます。

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