100年物語(2/2)

 

御池 ロッド
「月日は百代の過客にして、行かふ年もまた旅人なり。」
(月日というのは、永遠に旅を続ける旅人のようなものであり、来ては去り、去っては来る年もまた同じように旅人である。)

 

芭蕉が言うところの旅人に我々は運ばれながら、生を営む。

 

ある程度長い間運ばれ、翻弄(ほんろう)され続けると、若い頃に見えなかったことが段々と見えてくるようになる。

 

いわゆる物事や人の感情の機微。

 

トタン 水滴

 

大いなる自戒を込めて申し上げるのだが、往々にして若さとは「馬鹿さ」であり、ガキとは所詮「飢(えた)鬼」なのだ。自分がそうだったし、今でもまだそんなときがあって、反省させられる。

 

「大人しい」とは本来、単におとなしいだけではなく、思慮深く、分別のある様子を指すのだ。

 

ダーデブル 紅白

 

ところが、そういったことをわきまえた上でなお、突き抜けるような情熱を持って行動する大人は、文句なしに格好良い。

 

イベント ロッド

 

3つのドラマ、番外編。

 

イベントの告知をして、ある方から参加したいという連絡をもらった。

 

自分が小さい頃、よく地元テレビ番組に出演されていた人。お名前をロッキー田口さんという。このサイトがオープンした当時からよくご覧いただいていた。

 

今回のイベントにもいち早く参加を希望され、自分も会えるのを楽しみにしていた。

 

ところが、直前になってご本人からどうしても外せない理由で参加キャンセルの連絡があった。

 

ここまではよくあること。

 

昼食のために参加者全員が集まり、1人がスマホをチェックして、ふと、

 

「あ、ロッキーさん、シーバス釣ってる。70㎝。」

「前に釣ったやつですか?」

「いや、今朝みたいです。」

「今朝?」

「ダーデブルで。。。」

「え?何ですか?」

 

よく意味が分からなかった。

 

シーバス ダーデブル バンブーロッド

 

当日のご本人の書き込みを転載する。

 

「本当なら本日は御池で行われるルアー大会に行くはずであったが、親父の見舞いに家族で行く事になりやむなく断念・・・。

 

今回の大会はスプーンのみで、しかもダーデブル縛りという少々マニアックなもの。非常に楽しみにしていたので誠に残念。

 

そこで大会と同じスタート時間、使う予定だったそのままのタックル(155cm セミダブル バンブーロッド abu5000c 11gダーデブルスプーン)で一ツ瀬川河口で今振ってきた。

 

神様がかわいそうに思われ与えて下さったであろう70cmのスズキが釣れた??
ショートバンブーロッドでも大物は揚ることを証明したかったが、別の形で証明する事になった。」

 

シーバス ダーデブル バンブーロッド アブ

 

この方は、あえて、湖のトラウトフィッシングに、5フィートのショートバンブーロッド、しかもアンバサダーといったオールドリールで臨もうとしていた。

 

初心者がそうするのとは全く意味が違う。

 

ルアーフィッシングを何十年も愛好されてきた方が、あえて、そうする。

 

「嗜好」という言葉をそのまま体現したような振る舞い。

何だか久しぶりに昭和の香りを感じて、とてもなつかしくなった。

 

そしてしかも、このタックルで70のシーバスをランディングしたのだ。

 

言葉がなかった。ちょっと心が震えていた。大先輩にここまで想ってもらえて幸せだった。

 

平成生まれ界隈のオトコノ子にはない、むやみな熱情。馬鹿であることと、責任感があること以外、男が女性に勝てる要素は何もないのだ。オトコのXYのYは、劣勢遺伝子。そうでないと存在価値がないのだ。

 

オトコがスマートで、クレバーであることなんて、なんの魅力もない。「ハングリーであれ。馬鹿であれ。」とは誰の言葉だったか。

 

ご本人にはそんなつもりはなかったのかもしれないが、自分はそう感じた。
場所は違えど、確かにロッキーさんに神は舞い降りたのだと思う。

 

ダーデブル ワッペン 92g

 

満場一致で、2位にはロッキー田口さん。

 

Curtis Creekからいただいた92gのダーデブルをはじめ、ダーデブルゆかりの賞品が代理に吉原さんに贈られた。

 

御池 合鴨

 

そして最後のドラマ。

 

この日、山の神にも、湖の女神にも、そしてアヒルたちからも祝福されたのはこの男だった。

 

御池 虹鱒 アングラー

 

湖のトラウトフィッシングを苦手とする中平くん。

 

リリースこそかなわなかったが、ただ1人見事に37㎝をキャッチした。

 

ダーデブル コピーキャット 青

 

ヒットルアーはダーデブルのコピー イー キャット、7300番。青銀カラー。

この大会前に、彼はジギングで初のカンパチ入れ食いを実現していた。

 

何となくは自分も感じていた。

彼の頭上に月が満ち、潮目が訪れ、彼の時間が来ることを。

 

経験はまだそれほどない彼だが、行動力はすごかった。例え半日しかなくても、危険な渓流までたった1人、何度も何度も足を運んでいた。

 

この日の結果がそのこととはきっと無関係ではないと思う。

最後あたりは自分もムキになって釣りをしたが、結局かなわなかった。

 

Anglo ワレット

 

1位の賞品はAnglo&companyがこの日のために特別にしつらえてくれたワレット。きっと彼の一生の思い出に残ることだろう。

 

Anglo ワレット アングラー 御池

 

ここまで、満足できる日ばかりではなかったであろう。

 

しかし、この日、彼の笑顔には何かしら充ちるものがあった。降りてくるものがあった。

 

イベント 集合写真

 

こうして、南九州のすみっこの、決してメジャーではない、小さな小さな湖で行われた、小さな小さな大会は幕を降ろした。

 

御池 アングラー

 

全てが終わって、1人になるとちょっとした感傷が訪れる。

100年後、この日のこと、我々のことを覚えている人はきっと誰もいないだろう。

 

でも、きっとそれでいいのだ。

 

100年の孤独を味わうことこそが、きっとこの釣りの真髄なのだと思うから。

 

御池 トラウト アングラー

 

御池の夕暮れはいつもと同じ美しいプラチナ色だった。

 

湖に目を落とすと普段は滅多に目にしないトラウトアングラーが2人、夕マヅメと闘っている。

 

御池

 

100年後、この湖で、またダーデブルをキャストしているアングラーがもしいてくれたら、、、。

 

神々しい夕暮れ空を見ながら、ふとそんな感慨にふけった。

 

****************************************
終わりに、この度の海のモノとも山のモノとも分からない大会開催に際して、快く協賛いただいた、

 

・Fishing&Motorcycle Curtis Creek 伊井 様

HP http://www.c-creek.com/

・SSYLABAL  清水 様

HP http://www.ssylabel.com/

・SATO ORIGINAL   佐藤 様

HP http://www.sato-org.net/

・Anglo&company 菅沼 様

HP http://www.anglo.jp/

・株式会社みやざきフーズ  中平 様

HP http://miyazakifoods.com/

 

管理人ともども、厚く感謝申し上げるとともに、今後貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

 

ありがとうございました。

 

 

松本 宏人

松本 宏人

投稿者プロフィール

生まれ:1970年
メインターゲット:トラウト
メインフィールド:湖
-メッセージ-
幼少の頃から様々なルアーフィッシングに親しむ。
物をなくすのは、単にだらしないだけではないかとの噂も。
宮崎市在住。

この著者の最新の記事

関連記事

ピックアップ記事

  1. ニジマス HOBOスプーン
    11月初旬、宮崎の中央部を流れる一ツ瀬川の上流、西米良村に来ていた。ここは九州で…
  2. ヤマメ スプーン HOBO
    渓流シーズンが終わってしまった。 毎週末の早起きと深夜早朝のドライブも来年3月ま…
  3. スプーン ヤマメ
    「ウマいですね。」 行きがけに寄ったコンビニで明日の食糧と水分、今夜の肴を買っ…
  4. ヤマメ 胸鰭
    まだ10代の半ばだった頃読んだ筒井康隆氏の小説に書いてあった一節がずっと頭に残ってい…
  5. ヤマメ 原種 スプーン
    大学生になり、初めて親元を離れて関東で暮らすことになった。 元々、早く一人暮らしを…
  6. 「面白そうだけど、スプーンってよくわからないから教えてよ」 ルアーやるんですね、と話し始めてこ…
  7. 中禅寺湖 レイクトラウト スプーン
    朝早くから家庭行事に追われ、最後は地元の小さなお祭りに出掛ける。 ささやかで、ちい…
  8. 表裏の帯1(魚野川~湖山荘) 夢も出ない暗闇。ん、手首?誰かが握った・・・。 …
  9. 岩魚 山女魚 原種 DNA
    記録に残るような大物トラウト。 一生忘れることはない美しいトラウト。 私たち…
  10. 渓流 山女魚 スプーン バイト
    身体を悪くして随分時が過ぎた父親に話しかけた。 「ほら、小さい頃よく連れていっ…
ページ上部へ戻る