Why Do We Try(ランドロックサクラマスVol.2)

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カスケット トラウト

解禁から3週連続、片道約150㎞。2時間半から3時間はかかる道のりだ。

BGMは大事なギアの一つになっている。

ここ数年、運転しながら聴くのは大昔のジャズやクラシックばかりで、最近の音楽には全く食指が動かなかった。

思うに、30を過ぎたあたり(2000年頃)くらいから、自分にとって目新しい音楽というものはないような気がしている。パッと耳に入ってくる好きなジャンルのヒット曲は昔いつか聴いたもののリバイバルやアレンジの匂いがするものがほとんどで、大抵1回聴けば充分だった。

しかし、最近聴いているロバート グラスパーはこれらの音楽に似ているが少し違う。

元々はジャズピアニストで大好きなハービー ハンコックの影響を強く感じる演奏スタイル。ハービーはアコースティックのみならずエレクトリックにも強く傾倒していたが、ロバート グラスパーもまた然りだ。

ただし、ジャズマンがエレクトリックミュージックを始めたという意味ではパイオニア的なハービーからすると、随分時代を経たロバート グラスパーからはチョイスとブレンドの妙を感じる。

ヴォコーダーやラップ、サンプラーや各種エフェクター等を駆使しながらも、まろやかで、シックで、それでいて少し新しい響きの音楽をクリエイトしている。

ソフト的にも、ハード面でも、材料は、全てそれまでにあったもの。
ただ、それらをどう使って何をするか、そこがセンスと腕の見せ所なのだ。

そしてそれはきっとある種の「成熟」という言葉に置き換えることが出来る。

転じて、釣り。

色々な見方、意見があるだろうが、トラウトルアーフィッシングもそろそろ「成熟」すべき時期に来ているのではないかと感じている。

とても個人的な見解だが、トラウトのルアーフィッシングのタックルは今あるルアーのラインナップとPEラインと、薬品処理まで施されたキンキンに鋭いフックさえあれば、充分すぎるほどだと思う。

これ以上えげつなく釣れるルアーでヤマメのような渓魚を釣るのはあまりに忍びない。

それよりもむしろもっと様式美を追求したい。

今あるタックルの組み合わせで美学と釣力のバランスを見い出し、スタイルを醸成させること。その上で目指すターゲットに臨むこと。

ハードよりむしろ技芸(ソフト)を磨きに磨いて、釣りに没頭し切って、それでなお釣れない釣りになっても笑顔で1日を過ごせるようになること。

狭いこの国のトラウトフィールドにおいて紳士的なゲームフィッシング文化を根付かせること。そのお手本になれるよう精進すること。

自分の場合はそれがスプーンにこだわったトラウトゲームなんだと思う。

 

真夜中、曲がりくねった山道もある長い道中、そんなことを考えながら1人あのダムに向かった。

湖 ランドロックサクラマス

今年のこのダム、前評判では数年に一度の良い年になるはずだった。
しかし、いざ解禁が開けてみるとこの3月はすごぶる厳しい。
とにかく、数が出ない。日によって大物のライズを見ることはできるが、喰わない。

ただ、そんな中でも釣る人は45~55㎝くらいのランドロック山女魚を釣っている。

滅多に釣れない。ただ、釣れるとデカイ。それが今年のここの状況だ。

湖 ランドロックサクラマス

この日は友人と2人での釣行だった。

何もない時間が数時間過ぎる。ひたすらキャストをし、カウントダウンをして、神経を集中してステディリトリーブ。2速から3速へ(ネイティブレイクスプーニング①)、またその逆のシフトチェンジでスプーンの動きに変化を与える。

岸沿いに近づいてきたら、3速と4速を交互にやったり、ロッドを立ててレンジの変化を加えたり。

はたから見ていると分からないくらいの、微妙かつさまざまな工夫を繰り返す。そして、気温が本格的に上がり始めた午前10時頃、唐突にバイトがあった。

 

「ガチン!!」とまるで石で頭を殴られたかのような強烈なアタック。思わず痛みを感じてしまうほど硬質なそれだった。

反射的にアワセようとしてティップをあおったが、それっきり静かな湖面に戻る。ショートバイトなのか、フックアップしなかった。ランカーだったと思う。

それから15分後、ほんの15mほど離れたポイントでまたしても、「ガチン!!」。そして、また、だった。

活性の問題だろうか、誘惑は出来ていたんだろう。後少しなのに。ジリジリとしたものがこみあげてくる。

ランドロックサクラマス スプーン ワレット

ターゲットらしきものからコンタクトがあったのはこれっきり。

また、何もない時間が続いた。

2人で歓談しながらも、少しの諦めムードが漂ってくる。

ランドロックサクラマス スプーン アンサー

場所を変え、昼食を摂り、午後の勝負に入った直後、やっとの出会いが訪れた。

カウントダウン20秒の比較的シャローなエリアにターゲットを絞り、ボトム付近を2速、3速、2速のシフトチェンジを繰り返している最中に、「コツッ」というかすかなバイト。

さしたる抵抗もしないのでイダかと思っていたが、寄ってきたのは8~9寸といった可愛らしい銀化山女魚。結局この日はこれっきりだった。

パラゴン ステラ

こんな日だったが、一つだけ分かったことがあった。

同行者に5速のスプーニングを伝えていたのだが、どうも具合が違う。巻き上げのスピードが速くて、シフトのポイントがとても分かりづらいのだ。

ふと気付き、尋ねる。

「このリール、ハイギア?」

「はい。そうですね。」

ちなみに自分はわざとノーマルギアのリールを使っている。湖の場合は特にその方がメリットが多いと感じているからだ。水中で起きる微妙な変化はギア比が低い方がはるかに感じやすい。

もしハイギアでスプーニングをやっている方がいらっしゃったら、それ程高いリールでなくても構わない。ノーマルギアをぜひ試して欲しい。

湖 ランドロックサクラマス タックル

ダムで釣れるシーズンもそれ程長くはない。何としても50㎝オーバーという目標を達成したい。

反省とヒントは現場でしか得られない。

この日もいくつか気付きがあった。帰りの車中で頭の中を整理しながら、ロバート グラスパーのアップテンポな”Why Do We Try”を聴く。

 

「何故挑戦するんだ?」

 

仮にそんなことを尋ねられたとしても、今さら気が利いた言葉も浮かばない。

この釣りをしているときが楽しくてたまらない。それだけなのだから。

 

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松本 宏人

松本 宏人

投稿者プロフィール

生まれ:1970年
メインターゲット:トラウト
メインフィールド:湖
-メッセージ-
幼少の頃から様々なルアーフィッシングに親しむ。
物をなくすのは、単にだらしないだけではないかとの噂も。
宮崎市在住。

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