いよいよ、渓流シーズンも開幕寸前ということで、1年前より発症していたバネ指のオペを完了し、
本コラムにてリハビリ中である。
最初は冗談かという病名であったが、別名(弾発指)と呼ばれ、指の屈筋腱と靭帯性腱鞘の間で炎症が起こり
毎朝曲がって固まった指が、正にバネのような症状で復活するのである。
この、バネ現象のおかげで、Twitch効果に有効であったのかもしれない。
昨今の医療サービスは素晴らしいもので、心電図を設置され、ビビりがばれると、
「怖いですか?痛くないよにしてあげましょうか。」との問いに、「もちろん、お願いします」の即答。
局部麻酔の計画より、急遽、全麻に切り替えていただき、全く、痛み無しのオペで対応いただいた。
もし、同じ症状で悩んでいるかたがいらっしゃいましたら、切開をお勧めいたします。
さて、歳を重ねるごとに1年の経過も早いもので、もう、今シーズンの渓流解禁も指折り状態となった
昨シーズンの記憶に残る釣行は、やはり、トロッコ列車泊の初の五ヶ瀬川本流遠征であろう。
完璧に鱒に魅せられたM氏より、「スージーさん、温泉付きのええとこありますねん、泊りでどないですか。」
との誘いの電話に、断るすべもなく、「はい。」と即答。
深夜移動途中、チェーン店にて牛めしを掻き込みつつ、五ヶ瀬川本流の記事が掲載された雑誌をM氏に見せてもらった。
「こんな、サイズのサクラ鱒が宮崎の地で」と驚きであった。
五ヶ瀬川本流はスキーに行く際に、いつも眺めていたが、釣りで降り立つのは初体験である。
ポイントはおおよそ、M氏の頭にインプットされていたため、山中に車を止め、入渓したが、道なき道を、木々と
格闘しながら、ようやく降り立った。磯釣りを彷彿させる足場と、本流の壮大な流れは、車から眺める景色からは
得られない、感動があった。「きっと、開高さんがモンゴルの川に降り立ったときの感動はこんなもんやったんだろーな。」
生憎、前日の雨により、濁りがみられ、何度もトレースするが、反応は得られず。
上流にポイントをチェックしながら移動するも、なかなか、濁りは取れず、本流は諦めて、渓流へ
ここは、スキーに行く際のトイレ休憩箇所で、見慣れた場所であるが、橋下から見上げるのは、初めての経験である。
渓流域に入ると、流れはクリアーになり、ヤマメもサイズはさておき、反応してくれた。
本流の雰囲気とはうってかわって、心を落ち着かせてくれる。
M氏もやっとの反応に思わず、ニンマリ。
途中、ウグイ乱舞光景に遭遇、産卵のための行為なのか、これもまた、初めてみる光景である。
ルアーを追うことはないが、あまりの数に、運良く1匹引っかかってくれた、しかし、派手なカラーです。
ある程度、渓流を釣り上がると、M氏が「やはり、もう一度、本流トライしましょう。」との魂願があり、
本日の宿である、トロッコ列車の手続きに戻り、再び本流戦へ。
なんと、魂の願いは叶い、濁りはうっすらと取れ、M氏は見事に本ツアー中、最大のヤマメを本流にて仕留めたのである。
Angloのロッドを横たえ、魚体を写真に収める彼の嬉しそうな姿は、私までも、幸せな気持ちにさせてくれた。
生憎、私のロッドは本流でしなることはなかったものの、嬉しい気分で、本日のお宿に戻った。
宿は、廃業となった、トロッコ電車を温泉施設に設置してあり、これまた、男心をくすぐってくれる。
本流沿いの温泉で、本日の疲れを流し、食事処で夕食をとった。これまた、うまい食堂であり、
隣に居合わせた、フライマンの二人と、釣り談義がはずんだ。
フライマンはかなり年配の方と、若者の組み合わせで、同じ趣味には年齢なんて関係ないことを
ほのぼのしく感じたのである。
トロッコ列車に戻った後は、M氏が、友人から頂いたという、サントリーローヤルにて
五ヶ瀬川本流の釣行に祝杯を挙げた。M氏に開高さんのローヤルのCMを見せてもらい、気分は最高潮に。
夢にはたしか、開高さんが出てきたような気がする。
早朝、本流ポイントにて夜明けを待っていると、M氏が突然、「ランディングネットがない」との悲鳴を上げ、
昨日の大物がでたポイントに戻るが、時すでに遅し。私も昨日、山中でリールを紛失していたので、
悲しい気持ちはよく理解できた。
川原に降り立つと、気分は一新、昨日とはうってかわって、流れはかなりクリアーになっていた。
そして、ようやく、小さいながらも、アユカラーにて本流での嬉しい1本
そして、中々雰囲気のある流れ込みシーンにて、二人でくまなくトレース
そして、思い通りのストリームの中に、最高のキャストが出来た後の、2度目のアクションにて、
レッドカラーのPUREをひったくるような当たりが、そして、今回の釣行の中、最高のファイト、
そして、姿をみせたのは、かなり傷を負った、なかなかのサイズのヤマメであった。
そして、写真に収めた後、「気をつけて生き延びてくれよ」と願いつつ、そっとリリース。
もう、すっかり満足して、周りの景色も一段と映える。
最後に廃線となった、線路沿いのこれから開花を迎える桜に別れを告げ、帰路へついた。
五ヶ瀬川本流よ、素晴らしい記憶のインプットをありがとう。
suzzy 2016,02,14