アイム・オールド・ファッション

 

HOBOスプーン Anglo&Company

もう後少しで渓流シーズンが終わろうとする8月下旬、「灯台もと暗し」もいいところなのだけれど、とあるスプーンの魅力に取りつかれている。

忠さんスプーン、バイトに白黒のアイを自作して貼り付けているのだが、ふと違うものが目に入って、試してみたくなったのがきっかけだった。

HOBOスプーン テントウムシ

Anglo & CompanyのHOBOスプーン。赤字の黒いスポットのいわゆるテントウムシカラーはとても気に入っているスプーンで、渓流でもよく使うのだが、それ以外はあまり意識することなく、ボックスの中に鎮座していることが多かった。

ここ最近はずっと渓流でアップストリームのスプーニングをああでもない、こうでもないと研究しているのだが、一番の悩みはごくごく当たり前のことだった。

「アップだとスプーンがうまく泳がない。」

スプーンにはミノーのように「リップ」という潜行(又はレンジキープ)させるための装置がない。故にトゥイッチやジャークのようなロッドティップを使った瞬間的なアクションを加えると当然ながら浮上してしまい、バイトチャンスを逃してしまう。また、そもそもロッドによる過度のアクションはスプーンフィッシングには逆効果であることも多い。

今まで色々と試行錯誤を重ねてきた。

ヤマメ 渓流 スプーン

随分前は小型スプーンを使って流れの中をフワフワと漂わせるメソッド(ネイティブアップストリームスプーニング)をやっていたが、この方法はサイズが伸びないことが多い。大小入り乱れているポイントでは好奇心旺盛なおチビちゃんが先にバイトしてしまうからだ。

それに段々とオールドスタイルに傾倒してきているので、昔の香りがするスプーンを使って、しかも、いわゆる「巻き」にこだわった釣りをしている。

流れに負けずにスプーンをアクションさせるには、工夫がいる。

夏は忙しくてなかなか釣りに行けないのだけど、そのストレスからか頭の中には実験したいことが沢山湧いてくる。つい最近はフックを逆付けにする効果(スプーンフックはどちらを向けて付けるか)にびっくりさせられたし、リーダーについても色々と気付きがあった。このことは禁漁後にゆっくりコラムにしたいと考えている。

要するに、「泳がない」要素を極力減らし、「泳ぐ」要素を増やすことなのだ。ただ、スプーンフィッシングはシンプルさが「美」だと考えているので、色んなものを付け足すことはしない。あくまで、ライン、スナップ(スイベル)、スプーン、シングルフック、この中で工夫をする。

DCバイト 渓流

※(注)写真はだいぶ使い込んだものです。

「泳ぐ」要素の一つのキーワードは「抵抗」だと考えている。例えば、最近メインで使っているアートフィッシングのDCバイトの表面にはその名のとおり深いカットが幾何学的に刻まれている。ほぼ同型・同重量のメッシュバイトと比べてみるとよく分かるのだが、このカット部分に水が絡みつき、それが抵抗となってスプーンの動きが増幅される。

現代スプーンは肉厚なものが主流だ。確かに飛距離が稼げて、浮き上がりにくいというメリットはあるが、アップで、巻きで釣ろうとするならば安定的にアクションが発生するような工夫が求められる。

HOBOスプーン コパー

もう廃盤になってしまったけど、オールドっぽいRSFカラーには赤黒のアイがある。ならばと手持ちのHOBOスプーンに同じようにアイを入れる。この型番ももうほとんど在庫がないらしいが、無垢の銅にバフ仕上げという仕様とのこと。一気に、強烈に、愛着が湧いてきた。

こんなにダンディで、キュートなルアーはそうそうない。

HOBOスプーン コパー

「肉厚でシルエットを小さくすることで、すばやく狙ったレンジに送り込める。独特なディープカップにより、流れをしっかりとつかんだ派手なアクションが特徴です。」(Anglo&COMPANY WebShop)何回も読んだことがあるこの文章がふと実感となって伝わってきた。

いけると思った。何で今の今まで気がつかなかったのだろう。

パラゴンG アングロ ミッチェル 308

愛用しているパラゴンGシリーズ511とミッチェル308とも抜群に合う。見た目は全てクラシカルだが、リール以外は全て現代の尖ったスペックを持っている。

理想的だ。既に幸せな気分になっていた。

渓流 空

久しぶりの休みに友人を誘って有名河川の源流域に出かけた。標高は800mを超えていて、九州ではハイランドの部類に入る。

渓流 雲

先行者の車を何台も見て、やっと入れそうなポイントのそばに車を付ける。ふと見上げると空にはすっかり秋の雲が漂っている。吸い込む空気は清潔で、ひんやりとしていて、深山の甘い香りがした。

「かっこいいでしょ?今日はこのスプーンで釣るよ。」

友人にそう伝えてスタートフィッシング。あらためて泳ぐ様子を見るとやっぱりプリプリと健気にアクションしてくれる。やがてすぐに出会いが訪れた。

ヤマメ HOBOスプーン

ヤマメ HOBOスプーン

森よりも随分早く朱をまとい始めたヤマメ。大きさは8寸と少し程度だったが、そのシルエットと色合い。

人の出入りが多いこの水系では自分なりに満足できる魚だった。

渓流 アングラー トラウト ヤマメ

「オールドファッション」とは直訳すると「時代遅れ」という意味だ。しかし、自分の中で渓流をスプーンのみで釣り上がることは単なる時代遅れの懐古趣味ではない。

それはルアーフィッシングが本来持つべき変わらぬ価値、普遍性の追求なのだと思う。か弱く、美しい渓魚を相手にするのにオーバースペックなタックルたちを使うのはいかがなものだろうか。

美しい自然の中で美しい魚に対峙(たいじ)するためにはそれ相応の釣りがふさわしい。そして、スプーンフィッシングがその解の一つであることは間違いない。

アングロ 菅沼 記事

Anglo & Companyの店主、菅沼さんが以前とある雑誌に寄稿していた記事。

アングロ 菅沼 記事

若干語弊はあるかもしれないけど、今は心底同意している。

渓流 パラゴンG ミッチェル

とりあえず、今はただただまた一つ、相棒が増えたことが嬉しくてたまらないのだ。

 

 

松本 宏人

松本 宏人

投稿者プロフィール

生まれ:1970年
メインターゲット:トラウト
メインフィールド:湖
-メッセージ-
幼少の頃から様々なルアーフィッシングに親しむ。
物をなくすのは、単にだらしないだけではないかとの噂も。
宮崎市在住。

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