漁港にスプーン

 

漁港 鳥

テンションフォール。揺らめきながら時にはすとん、と落ちる予測のできない感覚だけがフロロ+PEからロッド、手元に振動となり追いかけては伝えてくる。

潮の中からは秘めやかに”こつん”と便りが届く。

待ちわびた腕が、脳ミソの解釈を待たずに鋭く、短く、針先を貫かせるよう合わせている。
乗った、さあ至福の時間だ。

んんん?予想よりも重さのある抵抗、もっと小気味よく走るはずなのに、となると魚種が違うかな。
トラウト設定になったままのドラグを少し鳴らしてくれる魚をいなしつつ、愉しみつつ、今年の初物なんだからバレないでね、などと語りかける様はさぞかし気持ち悪く映ると思うが、しょうがないよ、歓喜が今、この手にあるんだから。

ニベ スプーン クルセイダー何が魚の色を決めているのやら、水色や底色などの自然以外には見当もつかないのだが、どの魚を見ても格好よさや可愛らしさ、凛々しさ、はてまた神々しさまで感じられてしまう。弱めの太陽光を受けたその多彩な色の数々にほれぼれとする。

ニベは頭から目の周囲にかかる紫がとても美しい、その紫色は光を纏った紅桔梗(べにききょう)と言えるだろう。繊細で品格ある、生のプライドが魚体の力強い銀と同居する、角度を変えながらずっと見ていたい衝動とリリースの狭間でカメラ越しに葛藤する。
ニベ スプーン クルセイダー感覚的に選んだスプーンはDAIWA CRUSADERの4g いつ買ったのか覚えていないが、ソルトを前提として考えた際にも”とりあえず、入れてしまう”名スプーンだと思っている。安いし、釣れる。

フリーフォール時のひらひらとした舞いは久しぶりに見たせいか新鮮で、釣れそうな気配を感じた。こんなにキレイだったなんて、海水だからだろうか、たまたま良い潮流に乗ったのだろうか、深くは考えなかったが投げ続けるモチベーションには理由が必要で、この時ばかりは感覚とぴったりはまっていた。

いくらスプーン好きとはいえ、これをオークラでやらないことが今の自分の流儀でもある。もう少し年齢や経験を重ねてから、かな。これはリアルタイムを過ごされた先輩方への敬意でもあるし、自分の世代だけでなく、もっと下の世代が手に入れやすいスプーンやタックルを使うということも1つのテーマなのだ。エバ メッキ スプーン クルセイダー

この魚を狙っていた、エバ、メッキ。自分にとって昔から随分と遊んでもらったソルトライトゲームの主役。相変わらずのサイズに似合わぬ引き味に満たされて、この宮崎の海でキャストできる嬉しさがこみ上げる。
エソ スプーン アドロワ岩や石の間、ボトム周辺を丁寧に流すとすぐにエソがバイトしてくれた。

若干の風もある中でボトムを探るわけだから、少し重めのスプーンに変更。SSYLABEL adrowa7gの優等生ぶりはソルトでも変わらず、竿先に伝わる波動もぶりぶりとわかりやすくて使いやすい。42mmで肉厚のため飛距離も十分に出せる。

久しぶりに出会う魚達にもうお腹いっぱいだ。ありがとう。

スプーン 海 漁港 ソルト アドロワ

ソルトでのスプーンも基本的には淡水と何も変わらない、もちろん海水は比重も違うし波や満潮、干潮など考慮すべき点はあるが、水があり、流れがあり、魚がいる。スプーンは踊り、そんな鉄片にバイトしてくれる。

食性やアクション、その時々のベイトによってサイズやアクションを変えることも必要で、もっと言えばジグを投げれば飛距離や沈下スピードは簡単に伸びるしスタンダードなソルトでの釣りになるだろう。軽量なジグヘッドで探ればもっと手軽に多くの魚種にも出会えるだろうし、その愉しみも深く、広いことはそのほんのさわりだけだが経験していて、わかっている。

普通なら1つの攻め方として使うのがスプーンなのだろう、しかし、そこは歯ぎしりしながら、頭をこすりつけながら、できないことをできるように、釣れないものを釣れるように、そうして積み上げる時間は無駄の極みかもしれないが、愛おしい自分だけの贅沢な時間なのだ。

Keep on casting the spoon.

 

藤井政幸

藤井政幸TailSwing運営代表

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渓流~海までどこでもスプーンを投げる。
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