Give up not mind (原種を探してvol.3)

続きを書きたいと思います
私と「教授」との出会い
そこで起こる 御縁や事象

夜明け前の河原
俗世前の河原で

「ガリッ!!」
痛ぇ
嫁さんが拵えてくれた大きな梅おにぎり
種まで噛んでしまった

舌打ちがてらに種を吹くと
楓の木に跳ね返り
坊主頭に 拳骨をくらう

泥まみれ汗まみれになりながら
口に竿を咥え
根っこをザイル代わりに
谷を登り降りする日々

遠く下の谷底を向くと 気持ちが萎えるから
上ばかり見てた 独り言ばかり

「ハア ハア ハア。」
聴こえるのは自分の息と蝉の鳴き声だけ…か
こりゃ参ったな
沢の音すら聴こえてこない
また塩昆布を舐りながら 水を流し込む

「昔はあったらしいですよ
この谷にも沢が
エノハも
一服しましょう。」

「モゲちゃん。俺の方も何も釣れね
疲れたなあ。
あそこは水もなかった
こんな所に居るんかなぁ。」

もう何年も前になるのだろうか?
まだ二十歳そこらで 釣りの愉しみもわからないくらいの頃 地元の竹田の川に渓流釣りに連れて行ってくれた
餌釣りで苦節約2年
親指くらいの綺麗なアマゴが釣れてくれた
恥ずかしながらその感動と興奮は
今でも覚えている

宮崎の教授から 地元の方からの情報を逐一入電する
ここはかなり昔から
温泉宿の客から綺麗な朱点のエノハのリクエストがあると
宿主が釣竿持ってこの小川に釣りに来ていたらしい

こんな藪沢に?

二人で藪と蜘蛛の巣を躱しながら
可能な限り投げた
ネガティブな気持ちを消すために
色々と考えながら 只管に投げた
山菜採りと同じ ないと思った時は
腰を屈める目線で探す 諦めたら負け

そんなこんなで藪際にルアーを通すとき
微かに魚の感触が すぐにフックアウト
針先にハエには大き過ぎる魚の目玉だけが残る

ん? まさかなぁ…
すぐにまた藪際の表層でバイトがでた
それはハエとは違う明らかにトラウトの魚体
ネットに入れたとき
20cmもない朱点の美しいエノハと目が合う

君はこんな所にいるのか?
ネット越しの魚へ 一言目に出た言葉

藪沢歩き 強く藪を掻き分けると
山富士の花びらが舞う 初夏の沢
鬱蒼とした藪沢が 何故か幻想的で
美しかった
夜明けの小川の美しさに 負けまいと
朝日で朱点の光るエノハたちが
私たちを出迎える

「モゲちゃん エノハおったなあ。教授喜ぶぜ。」
先輩も嬉しそうにニタニタしながら釣り上がる

脱渓
横の崖を登る 木々の葉の隙間から
道路の白い欄干が見えた時の安堵感
携帯電話の電波を確認しながら
興奮を抑えつつ 教授に状況を報告した

改めて考えたとき
これで良い と思った
トラウトは禁漁期間があるから遊ぶ時間は限られている
だけど それで良いではないか
愛着のある釣具で 美しい地元の自然の記憶が刷り込まれた原種のエノハに逢えること

カッカッカッカッ!
電話越し また教授の高笑いが聴えてくる
その情熱は私の心に飛び火する

To be continued.

モゲノ智則

モゲノ智則

投稿者プロフィール

生まれ:1978年
メインターゲット:トラウト シーバス 雷魚
メインフィールド:渓流 大小河川
-メッセージ-
何をするにもSteve McQueenならこうするであろうと妄想しながらアウトドアを愉しむスタイルです。別府市在住。

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